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コラム

借地権の更新料の相場はいくら?支払い義務に関して解説

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借地権の更新料に関する問題や紛争は、多くの借地契約者にとって悩みの種です。借地権とは土地を借りる権利のことで、契約期間が終了すると更新料が発生する場合があります。

更新料の相場は地域や立地条件によって異なり、更新料の支払いが必要かどうかは、借地契約の内容によります。

本記事では、借地権の更新料の相場や更新に関するトラブル対処法について法律を交えながら詳しく説明します。借地権の更新料や支払い責任について理解を深め、問題を円滑に解決するための知識を身につけましょう。

借地権の更新料の相場

借地権の更新料は、土地の価格や立地条件によって異なりますが、一般的には借地権価格の3%~10%程度が相場とされています。

低い方の相場である3%程度は、地方都市や郊外エリアのような立地条件がやや劣る場所で見られることが多いです。一方、10%程度の高い更新料相場は、都心部や駅近、商業施設が集まる人気エリアで見られることがあります。

ただし、借地権の更新料は契約条件や、借地人との交渉によっても変動することがあります。また、実際の取引価格は路線価や借地権割合だけでなく、個別の交渉や市場状況によっても影響されるため、必ずしも一定ではありません。

そのため、借地権の更新料は一概に決まった金額があるわけではなく、個別の事情によって異なります。更新料の相場はあくまで目安であり、具体的な金額は借地契約の内容や地域の慣習、または交渉の結果によって決定されることになります。

借地権の更新料の計算方法

借地権の更新料を計算するには、まず土地価格を算出したうえで、その価格に対して更新料の比率が適用されます。具体的な計算方法は、以下のとおりです。

・国税庁が公表する「路線価」に借地の面積をかけ、土地価格を算出する
・契約で定められた借地権価格に対する更新料の割合を確認する

路線価とは、日本国内の土地の価格を示す指標であり、毎年7月1日に国税庁が公表しています。

主要な道路沿いにおける土地の1平方メートルあたりの価格を示し、土地評価の基準となる目安です。路線価は、土地取引や相続税、固定資産税などの計算の際に参照されます。

次に、更新料の事例と算出方法を見ていきましょう。

事例1:
A地区の路線価が50万円/㎡で、借地の面積が100㎡、更新料が借地権価格の5%

土地価格: 50万円/㎡ × 100㎡ = 5,000万円
更新料: 5,000万円 × 5% = 250万円

事例2:
B地区の路線価が40万円/㎡で、借地の面積が200㎡、更新料が借地権価格の7%

土地価格: 40万円/㎡ × 200㎡ = 8,000万円
更新料: 8,000万円 × 7% = 560万円

このように、土地価格や契約内容によって、更新料は大きく変動することがあります。また、実際の取引価格は路線価や借地権割合だけでなく、個別の交渉や市場状況によっても影響されるため、必ずしも一定ではありません。

借地権の更新料に支払い義務に関して

借地権の更新料に関する支払い義務は、基本的には借地人と地主(貸主)の間での合意によって決まります。

ここからは、支払い義務が生じるケースや、支払った方がよいケース、支払い義務がないケースで分けて詳しく説明します。

支払い義務はない

日本の法律において、借地権の更新料については明確な規則が存在しないため、支払い義務はありません。そのため、借地権の更新料については、借地人と地主(貸主)の間で合意によって決まることが一般的です。

契約書に、更新料に関する記載がある場合や、両者間で口頭合意がある場合は、更新料の支払いが必要となります。しかし、契約書に更新料に関する記載がなく、両者間で合意がない場合は、基本的に支払い義務は生じません。

ただし、過去の取り決めや慣行に基づいて支払いが求められることがあるため、具体的なケースについては専門家に相談することが望ましいです。また、地主と借地人の関係や将来の借地契約の更新を考慮して、適切な対応を行うことが重要です。

支払う必要のあるケース

更新料の支払いが必要となるケースもあります。以下に、具体的なケースを説明します。

契約書に明記されている場合

契約書に借地権の更新料が明記されている場合、通常は更新料の支払いが義務付けられます。更新料の金額や支払い時期、支払い方法などの詳細は、契約書に記載されているとおりに従わなくてはなりません。

また、契約書には、更新料に関する特約や条件が記載されていることがあるため、契約書をよく確認することが重要です。

両者で合意がある場合

契約書に更新料に関する記載がない場合でも、借地人と地主の間で口頭や書面で合意がある場合は、更新料の支払いが必要となります。この場合、合意が成立した時点で、双方が支払い義務を認識していることが前提となります。

ただし、合意の内容や証拠が曖昧な場合、トラブルが発生することがあるため、できるだけ書面での合意を残すことが望ましいです。合意内容については、双方で話し合いを行い、金額や支払い時期、支払い方法などを明確にしておくことが重要です。

支払った方がよいケース

次に、更新料の支払い義務が明らかにされていない場合でも、支払った方がよいケースがあります。いくつかの考えられるパターン別に説明します。

過去に更新料を支払ったことがある場合

これまでに1回でも更新料を支払っている場合、借地契約者は以降の更新時にも更新料を支払い続ける義務が生じることがあります。これは、過去の支払いが慣習であると認定され、それに従うことが求められるためです。

ただし、過去に支払った更新料がある場合でも、その後の契約で更新料に関する規定が変更されたときや、借地契約の内容が明確に定められた場合には、過去の支払い事実だけでは更新料を支払う義務が生じない場合があります。

つまり、更新料の支払い義務が生じるかどうかは、過去の支払い事実や契約内容、地域の慣習などを総合的に考慮して、判断されることになります。

地主と良好な関係を築きたい場合

地主と良好な関係を築くことは、借地契約の円滑な更新や将来的な利益につながります。そのため、法律上の支払い義務がなくても、地主との関係を良好に保つために更新料の支払いを検討する場合があります。

また、地主との信頼関係が築けることで、契約内容の改善や交渉がスムーズに進むことが期待できます。

トラブルを避けたい場合

法律上の支払い義務がない場合でも、無用なトラブルや訴訟回避、貸主との円滑な関係維持を目的として、支払いが検討されるケースがあります。

借地契約に更新料の支払いに関する記載がない場合や、過去に支払ったことがあるものの契約書がない場合など、支払い義務の有無について紛争が発生することがあります。このような状況下では、双方が法的手段を取ることで、訴訟に発展するリスクがあるでしょう。

トラブルを避けるためには、事前に地主との合意を明確にし、必要であれば支払いを行うことが重要です。

借地権の更新料を支払わないとどうなる?

借地権の更新料を支払わない場合にどのような影響があるのか、契約書に明記されている場合と、契約書に明記されていない場合について説明します。

契約書に明記されている場合

契約書に借地権の更新料に関する記載がある場合、更新料を支払わないと契約違反となります。

このような状況で契約違反が認められると、地主は借地人に対して違約金の請求や、契約の解除を求めることができる場合があります。契約解除が行われると、借地人は土地を使用できなくなります。

また、借地人と地主の間で信頼関係が損なわれることがあり、将来的な契約更新や交渉が難しくなることがあります。

契約書に明記されていない場合

契約書に更新料に関する記載がない場合、支払い義務が法律上認められていないため、更新料を支払わなくても契約違反にはなりません。ただし、地主との関係が悪化し、将来的な契約更新や交渉が難しくなる可能性があります。

地主との信頼関係を維持することを考慮し、場合によっては更新料の支払いや話し合いを行うことが望ましいです。

旧法と新法の契約・更新期間の違い

平成4年7月31日以前に賃借契約をしている場合は「借地法」、それ以降の契約には「借地借家法」が適用されることになります。

元来存在した借地法に、借地借家法が新たに制定されたことから、借地法は「旧法」とし、借地借家法は「新法」と呼ばれるようになりました。

借地法の改正によって、契約期間や更新期間に関する規定が変わりました。それぞれの法律でどのような違いがあるのか、見ていきましょう。

旧借地法

旧法は、平成4年7月31日以前に締結された借地契約に適用される法律です。問題や紛争が多いのは、こちらのケースです。この法律では、借地上の建物が堅固な建物かどうかによって、契約期間と更新期間が異なります。

堅固な建物(煉瓦造、鉄筋コンクリート造(RC造)など)の場合、借地契約の期間は原則として60年です。ただし、当事者同士の合意により30年以上の期間を設定でき、更新後の期間は原則として30年です。

一方、非堅固な建物(木造など)の場合、借地契約の期間は原則として30年です。しかし、当事者間の合意により、20年以上の期間を設定できます。更新後の期間は、原則として20年です。

新借地法

新借地借家法は、平成4年8月1日以降に締結された借地契約に適用される法律です。この法律では、建物の構造に関わらず、借地契約の期間を原則として30年と規定しています。ただし当事者間の合意により、30年以上の期間を設定することも可能です。

新借地借家法における更新期間は、最初の更新時には20年以上、2回目以降の更新時には10年以上となっています。しかし、当事者間の合意によって、これよりも長い期間を定めることができます。

新借地借家法では、契約期間や更新期間がより柔軟に設定できるため、地主と借地人双方が納得した条件で契約を結ぶことが可能となっています。

借地権の更新料を支払い方法と期限

借地権の更新料の支払いには、方法と期限があります。この項目では、それぞれの詳細を見ていきましょう。

支払い方法

借地権の更新料の支払い方法は、借地人と地主間で取り決められます。更新月に地代と一緒に支払うケースもあれば、一括で支払うことが求められる場合もあります。

また、更新料が高額で一括支払いが難しい場合には、地主との合意によって分割払いが許可されることもあります。

支払い方法は、個別の契約内容や両者間の合意によって異なるため、契約書に明記されている支払い方法に従いましょう。不安がある場合は、地主と相談し、合意を確認しておくことが望ましいです。

支払い期限

一般的には、借地権の更新料は契約期限が切れる前に支払うことが望ましいです。しかし、契約書に更新料の支払期日が明記されている場合は、契約書に記された内容が優先的に考慮されます。その理由は、契約書が法的な効力を持つためです。

支払い期限について、契約書には以下のような記載があります。

・借地権の更新料は、更新の日から起算して1か月以内に支払うものとする
・借地権の更新料の支払いは、更新日の30日前までに行うこと

支払い期限が明記されていない場合でも、地主と借地人間で合意があれば、支払い期限を設けることができます。

また、支払い期限が迫っている場合や支払いが困難な場合は、何もしないのではなく、地主との相談が重要です。事前に相談し、支払い期限の延長や分割払いなどの方法で合意に至ることができれば、トラブルを避けることができます。

借地権の更新料に関するトラブルの対処法

借地権の更新料に関する問題や紛争は、借地契約者にとって悩みの種であることがよくあります。この章では、更新料に関するトラブルの具体的な事例と、それぞれの対処法について詳しく説明していきます。

高額な更新料を請求された場合

過去の裁判例から、高額な更新料を請求された場合の対処法は、まずは地主と話し合い、合意がなければ地域の慣習や市場価格を調査し、適正な金額について交渉することが重要です。また、専門家に相談することも効果的な対処法となります。

更新料の請求が適正かどうかを判断する際、ポイントとなるのは、借地人と地主の間で更新料について合意があるかどうかです。合意があれば、その合意に基づいた金額を支払うことになります。合意がない場合、地域の慣習や慣習法が適用されることがあります。

合意がない場合、地域の慣習に基づいて更新料が算定され、それが適正とされることが多いでしょう。ただし、地域の慣習が明確でない場合や慣習が変化している場合は、裁判所が判断を行います。

そのうえで裁判所は、借地人と地主の個別事情を考慮して、適正な更新料を決定することがあります。たとえば、借地人が長期間にわたって土地を使用していたり、地主が大幅な値上げを求めていたりする場合、裁判所は双方の利益を考慮して更新料を決定します。

また、裁判所は周辺の借地権更新料の相場や市場価格との比較を行い、適正な更新料を判断することがあります。市場価格と大幅に乖離している場合は、裁判所が適正な金額を決定することがあります。

更新料の受け取りを拒否された場合

更新料の受け取りを拒否された場合、まず原則として借地契約に基づいて更新料の支払いが義務付けられているかどうかが重要な判断基準となります。契約書にて、明確に更新料の支払いが定められている場合、地主は更新料の受け取りを拒否することはできません。

ただし契約に明記されていない場合でも、地域の慣習や過去の取引実績などを踏まえて、更新料の支払いが当然とされる場合があります。このような状況では、借地人は地主に対して更新料の受け取りを求めることができます。

また、借地人は地主が更新料の受け取りを拒否した場合「供託手続き」を利用することができます。供託手続きは、地主に支払うべき金銭を裁判所に預け入れる手続きで、これにより借地人は支払い義務を履行したとみなされます。

この手続きを行うことで、借地人は法的な問題から身を守ることができ、地主が後から支払いを求めることもできなくなります。

更新そのものを拒否された場合

借地契約の更新が拒否されるケースはいくつかありますが、地主が更新を拒否できるのは「正当事由(せいとうじゆう)」が必要であり、認められるには高いハードルがあることに注意が必要です。

正当事由の具体例として、以下のようなケースが挙げられます。

・借地人が地代の支払いを怠っている場合
・借地人が契約上の義務を遵守していない場合
・土地の返還が必要な場合(地主自身が使用する必要がある場合や、都市計画法に基づく用途変更など)

借地借家法(新法)では、正当事由がより具体的に規定されており、借地人に不利益な状況が発生した場合の保護が強化されています。

新法では、地主が正当事由を主張しても、裁判所は借地人の立場を考慮し、更新拒否が適切かどうかを判断します。

契約日によって適用される法律が異なるため、借地法(旧法)と借地借家法(新法)の正当事由に関する違いを理解し、適切な対処法を選択することが重要です。

具体的な問題が発生した場合には、契約日や契約内容に基づいて適切な法律を参照し、法律の専門家に相談することが望ましいでしょう。

支払えないときは売却も視野に入れる

借地権の更新料が支払い困難な場合には、売却を検討することもひとつの選択肢となります。借地権や建物を売却することで、更新料の支払いに充てる資金を得ることができます。

また、売却を検討する際には、不動産業者や売却専門の専門業者に相談するのもおすすめです。不動産の売却に強い専門業者は、適切な売却価格や手続きをサポートしてくれるため、スムーズな売却が期待できます。

ただし、売却を決定する前に、ほかの解決策も検討することが重要です。借地権の更新料の交渉や分割払いなど、支払い方法を見直すことで問題が解決する場合もあります。

まとめ

借地権の更新料に関しては、契約書で定められていない場合、必ずしも支払う義務はありませんが、支払うことで貸主との無用のトラブルを避けることができます。自分であらかじめ更新料の相場を計算し、貸主と両者が合意できる更新料を決めておくことが望ましいです。

また、契約期間や更新期間に関しては、旧借地法と新借地借家法の違いがあり、それぞれの法律によって適切な対処法が異なります。更新料の支払い方法や期限について理解し、トラブルに備えることが大切です。

万が一更新料が支払い困難な場合には、売却も視野に入れることが検討するべきです。借地権に関するトラブルを円滑に解決するために、法律や裁判例を参考にし、適切な対応を心がけましょう。

セットバックの費用相場と内訳!自治体から助成金が出るケースもある?

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「セットバックについて知りたい」
「セットバックすると費用がかかるのか知りたい」
「助成金や固定資産税免除の申請について知りたい」
このようにお考えではありませんか?

セットバックとは、自宅に隣接する道路を広げるために、自分の土地の面積を小さくすることで、車両が通行する道路の幅が狭い場合に、緊急車両が問題なく通れるようにすることを目的としています。

セットバックは、基本的に自分で費用を負担しなければいけません。費用相場としては30~80万円程度となっており、建て替えとなると解体費用もかかってきます。

しかし、土地をセットバックし、特定の要件を満たして公共の道路として利用される土地となった場合は、自治体へ申請することで非課税となる場合があります。

この記事では、土地所有者が負担する場合の費用や手続きの手順について解説していきます。これから家を建てようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

セットバックの費用相場と内訳

セットバックとは、自宅に隣接する道路を広げるために、自分の土地の面積を小さくすることです。セットバックを行う理由としては、車両が通行する道路の幅が狭い場合に、火災や急病人が出たときでも、緊急車両が問題なく通れるようにすることが目的です。

幅4メートル未満の道路に面した土地に建物を建てようとした場合、建築基準法にもとづき、道路の中心から2メートル敷地を後退しなければならないという決まりがあります。

このことを「接道(せつどう)義務」といい、この基準を満たしていない建物は、新築時や建て替えの際に土地をセットバックしなくてはいけない決まりになっているのです。

セットバックにかかる費用相場は、おおむね30~80万円程度です。費用項目の内訳としては、以下のようになっています。

・土地測量費
・分筆登記費用
・道路整備費用
・撤去費用

土地測量費

土地測量費は、土地の境界線が確定しているかどうかで費用が変わります。境界線が確定している場合は現状測量といって、1週間ほどかけて土地の状況を調べます。調査費用は10~20万円程度です。

境界線が確定していない場合は確定測量といい、土地家屋調査士に依頼して隣の土地との正しい境界線を測定し、確定させます。

この場合、隣の土地の所有者にも立ち会いが必要です。図面をもとに正確に測定するため、3か月ほど時間がかかり、費用は35~80万円程度が目安です。

分筆登記費用

分筆登記とは、土地を分けたことを公にするための登録費用で、5~7万円ほどかかります。土地は地番ごとに1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)と数え、土地を分割することを「分筆(ぶんぴつ)」とよんでいます。

セットバックする場合、土地測量と一緒に分筆登記を行うことが一般的です。

道路整備費用

道路を整備するための費用は、セットバックした土地を使えるようにするための費用で、1平方メートルあたり5千円ほどかかります。

整備するだけでなく、アスファルトを塗ったり、重機を運んだりするための諸費用も含まれるため、土地が広かったり高低差があったりすると、費用も高くなってしまいます。

撤去費用

建て替えの際やすでに建物が建っている場合は、フェンスなども含め、それらを撤去する費用も必要になります。撤去費用は建物の種類によって異なり、広さの単位で計算されます。

木造の場合、1坪あたり3~5万円程度、鉄骨造の場合は4~6万円程度、鉄筋コンクリート造の場合は5~7万円程度が目安です。フェンスやブロック塀、門などの外構にかかる費用は、5~20万円程度です。

建物や外構の種類、広さによって費用が変わるため、複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。

セットバックは自治体から助成金が出るケースもある?

セットバックは基本的に自費で行いますが、地域や周辺住民を助け合うためのものでもあるので、協力してくれる土地所有者には、自治体からの助成金を受けられる場合もあります。

たとえば、千葉県千葉市であれば、以下の内容が補助対象となっています。

助成対象 助成率 助成限度額
後退用地及びすみ切り用地内にある ・柱・門扉・
塀・擁壁の撤去 ・樹木・生垣の移植 ・公共汚水桝等の移設
左記にかかる費用の1/2 100万円
・擁壁の築造 150万円

※「すみ切り用地」とは、道路と道路のある土地を斜めに切り取って、通行しやすく、または見通しをよくするためにすることです

助成金の実施状況や受けられる条件、助成対象の内容は各自治体によって異なります。管轄の自治体のホームページか、電話で問い合わせて確認するのがよいでしょう。

セットバックした土地の固定資産税は非課税になる?

セットバックした土地は「公共の用に供する道路」と呼ばれ、土地の所有者以外にも多くの人が使うことになるため、固定資産税が非課税となります。

ただし申請しないと非課税にならないことと、セットバックした部分に車を停めたり、花壇などを設置したり、個人利用する場合は非課税にならないので注意しましょう。また、申請には以下の書類が必要です。

・セットバック部分がわかる地積測量図
・土地の登記簿謄本
・その他、役所指定の申告書、書類など

また、分筆登記しないと、セットバックした部分にも固定資産税がかかるため、注意が必要です。

セットバックに必要な土地面積の計算方法

セットバック面積の計算方法は、以下の計算方法で求めます。

セットバック面積=セットバックする距離 × 間口の幅
セットバックする距離=(建築基準法で定められた規定の道路の幅の広さ − 実際の道路の幅の広さ)× 1/2
※建築基準法で定められた道路の幅の広さは、通常4メートルです。

たとえば、実際の道路の幅の広さが3メートル、間口が6メートルだったとします。これに対するセットバック面積の計算式と答えは、以下のとおりです。

<計算式>
セットバックする距離
(4メートル − 3メートル)× 1/2 = 0.5メートル
セットバック面積
0.5メートル × 6メートル = 3平方メートル

<答え>
3平方メートル

向かいに家が建っている場合

向かいに家が建っている場合はどうなるでしょう。その際は、今ある中心線から2メートルのところまで下げなくていけません。

道路の幅の広さは、接道している両側の土地の所有者が同じ面積を分担するのが原則となります。向かいの敷地にも住居があるならば、セットバックのみで道路の幅の広さを4メートルにする必要はありません。

たとえば、接している道路の幅が3メートルであれば、広げなくてはいけない幅は1.0メートルです。その場合、接道している土地の所有者がそれぞれ0.5メートルずつ平等に後退するのが原則です。

向かいがセットバック済みの場合

向かいの敷地がすでにセットバック済みの場合は、自身が行うセットバックのみで道路の幅の広さを4メートルにしなければなりません。セットバックする際は、向かいの土地がセットバックする前の中心線から、2メートル確保すればよいです。

向かいの土地がセットバックしているかどうかは、管轄の自治体の建築課や建築指導課、道路課などに問い合わせましょう。

向かいが崖地や水路の場合

向かいが崖地や水路の場合は、自身で行うセットバックのみで道路の幅の広さ4メートルを確保する必要があります。

理由としては、崖地や水路の境界線は変更ができないからです。そのため、向かい側の崖地や、水路と道路の境界線から4メートルの位置まで、自身の敷地をセットバックしなければいけません。

セットバックのメリット・デメリット

ここでは、セットバックのメリット・デメリットについて紹介します。

メリット

セットバックのメリットは、以下の2つです。

・近隣の土地よりも安く買える可能性がある
・防災や防犯に役立つ

<近隣の土地よりも安く買える可能性がある>
セットバックをしている物件は敷地が通常よりも狭くなっており、一般的な物件よりも安い値段で販売されていることが多いです。

また、セットバックが必要となる物件は、敷地が狭まる前提で住むことになるため、使い勝手が悪く人気が下がってしまいます。

そのため、通常よりも安い価格で売りに出されるケースが多いのが特徴です。費用を抑えて土地を購入したい人にとっては、購入価格の面でメリットになることもあるでしょう。

<防災や防犯に役立つ>
セットバックは、緊急車両が問題なく通れるようにする工事です。緊急時の手助けはもちろんですが、通行する利便性の向上や道路の見通しがよくなるため、連れ去りや不法侵入といった、安全性や防犯性を高めることにもつながります。

デメリット

セットバックのデメリットは、以下の2つです。
・建てられる住宅スペースが狭くなる
・セットバックは拒否できない

<建てられる住宅スペースが狭くなる>
セットバックは敷地の一部を道路として提供することで、建物のサイズが小さくなってしまいます。家の一部として、門や塀なども設置ができません。

中古の物件を購入する場合や、所有している土地で建て替えをする場合は、注意が必要です。建物のサイズが思っていたよりも小さくなるおそれがあるので、しっかりと確認する必要があります。

セットバックをするかどうかは、所有者にとってどちらのメリットが大きいかをよく考える必要があります。建築や設備などを再構築するための費用と比較して、セットバックによる再建築のメリットを検討しましょう。

<セットバックは拒否できない>
セットバック部分の土地は、公共の道路となります。自分の所有している土地を国に渡すことに納得できない部分もあるでしょう。しかし、防犯や防災上の観点から建築基準法第43条で定められているため、拒否することはできません。

セットバックを無視して自分の土地として家を建ててしまうと、法律に違反することになるので注意しましょう。

セットバックの工事を行う際の流れ

ここでは、セットバック手続きの流れについて解説します。

一般的には、以下のような流れで進んでいきます。
・現地調査
・事前協議書の提出
・自治体による現地測量
・事前協議
・建築確認申請
・セットバック工事
・助成金や固定資産税免除の申請

それぞれ見ていきましょう。

現地調査

セットバックをする場合、物件に隣接する道路がセットバックの対象になるのか、図面を見て確認する必要があります。

自治体によっては、現場調査後に提出する「事前協議書」に、土地境界線の確定の有無や後退用の土地面積、除去が必要な物件の有無などを記載しなくてはなりません。

調査対象を調べるには、自治体の建築課や法務局に問い合わせるほか、オンラインで申請することも可能です。自治体の補助金や助成金制度についても一緒に確認できますので、これらを確認しておくとあとの手間を省けます。

事前協議書の提出

セットバックが必要だとわかった場合は、事前協議書を提出します。事前協議書とは、自治体の職員に現地調査を依頼するための書類のことで、役所に提出が必要な書類です。フォーマットに関しては管轄の自治体に確認してみてください。

手続きには、以下の書類も添付する必要があります。

・付近見取り図(案内図)
・公図の写し
・土地登記簿謄本
・印鑑登録証明書
・配置図
・後退用地求積図
・境界確定図
・現場写真

自治体による現地測量

事前協議書の内容が受け入れられると、自治体の担当職員による現地測量、協議図面の確認などが行われます。

事前協議では、職員による現況の実査内容にもとづいて、セットバック後の道路の中心線や整備などの検討を行います。測量費用は、このときの調査費用です。

事前協議

自治体職員の調査で明らかになった道路の中心線や、敷地の後退距離を考えたうえ、建築業者や自治体の職員、その他関係者で整備方法などを協議します。

事前協議が完了するまでは約1か月程度かかりますので、建築確認申請の30日前までに行われるのが一般的です。事前協議が完了したら協議書が交付されるので、建築確認申請書とともに役所や指定確認機関へ提出します。

建築確認申請

建築確認申請書は、住宅を新築するときや、建て替えなどをするときに提出する書類です。

建物自体が建築基準法や、各種条例に適合しているかを審査します。住宅の建設を始める前には、必ず行わなければいけない手続きになります。

セットバック工事

新築の場合や建て替えの際にセットバックが必要であれば、まずは建設工事を行ってからセットバック工事をするのが一般的です。通常、セットバック工事は自治体の委託業者が施工します。

助成金や固定資産税免除の申請

セットバック工事後は、助成金の交付条件を満たしている場合は申請を行います。助成金の申請は、工事前に必要な場合もあるので、申請する自治体に確認してみるとよいでしょう。

固定資産税免税は、私道として所有権を持ち続けるのであれば申請が必要になりますので、工事完了後に忘れずに申請するようにしましょう。ここまででセットバックの手続きは終了です。

セットバックの工事を行う際の注意点

ここでは、セットバックの工事をする際の注意点を紹介しますので、参考にしてください。

道路を私的に利用しない

セットバックした部分は、建物を建てられないうえにフェンスや門、駐車場などは建設できません。植木鉢の設置や、自転車の駐輪もできないので注意してください。

セットバック部分は、自身の所有する土地ではなく、建築基準法上の道路となります。個人的に利用すると罰則あるいは、課税対象となってしまう可能性があります。

セットバックなしで再建築しない

セットバックすると、再建築ができる代わりに、敷地面積が少し狭くなってしまいます。狭くなるのが嫌だからといって、セットバックしないで再建築すると、その建物は違法建築物になります。

また、役所から除去や使用禁止を言い渡される可能性があり、基本的には売ることもできなくなるので注意が必要です。

土地売却ならセットバックは不要

セットバックが必要な土地の場合、対象部分の敷地においては、自由に使用できないうえに、敷地面積として除外され、家の規模が小さくなります。敷地に面する道路の幅は狭く、使い勝手も悪いため、人気が下がる傾向にあります。

セットバックの費用が負担に感じるならば、再建築不可の状態で土地や建物を売却してしまうのがおすすめです。接道義務を満たしていない土地の状態でも売却は可能です。

再建築不可のまま売却してしまえば、セットバック費用を土地の所有者が負担しなくてもよくなるので、次の住居の購入資金にあてられるでしょう。

ただし、接道義務を満たしていない土地の物件は売れにくいので、専門の不動産業者に依頼してみましょう。専門の買取業者であれば、数日程度で買取現金化が可能です。

まとめ

セットバックとは、自宅に隣接する道路を広げるために、自分の土地の面積を小さくすることで、緊急車両が問題なく通れるようにすることが目的です。

セットバックには、土地を調査する費用や登記するための費用、道路を再整備する費用などがかかり、おおむね30~80万円が相場になります。建て替えの場合はさらに撤去する費用もかかってきます。

セットバックの工事費用は安くないため、再建築不可のままで土地や建物を売却してしまうのもひとつの手です。

建築不可の物件は基本売却しにくいのですが、専門の買取不動産会社や買取実績が豊富な不動産会社であれば、数日で現金化も可能ですので、うまく活用してみることをおすすめします。

借地権とは?旧法との違いや種類を簡単にわかりやすく解説

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簡単にいうと、借地権とは土地を借りる権利のことです。土地を所有するにはさまざまなコストがかかるため、費用を抑える目的で活用されるケースがあります。

ただ、法律も絡んでくるため、専門的知識が必要です。種類もいくつかあるため、把握しておきましょう。

この記事では、借地権の概要や種類、メリット・デメリットなどを解説します。相続や売却の方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

借地権とは

借地権とは、土地を所有する人に対して地代を支払い、土地を借りる権利のことです。具体的には、土地を所有する人(貸主)が、その土地の使用権をほかの人(借主)に与え、報酬として地代をもらいます。

借地権のポイントは「建物を所有する目的で土地を借りる権利」のため、建物を所有しない道具置き場や駐車場の場合は借地権が発生しません。

借地権は不動産取引において重要な役割を果たし、住宅や商業施設などの建設に利用されるケースがあります。

注意点として、借りた土地に建てた建物は借主のものですが、土地自体は地主のものです。また、借りた土地に建てた建物は勝手に売ることはできません。

加えて借地権には契約期間があり、契約満了で更新しない場合は、建物を取り壊して元の状態で地主に返却する必要があります。

借地権の種類

借地権には、旧借地法と借地借家法という二つの法律制度を理解する必要があります。なぜなら、借地権の契約を締結した日付によって、どちらの法律が関わってくるかが変わるからです。

ここでは、旧借地法と借地借家法について解説します。借地借家法による借地権には、以下のような種類があります。

旧借地法

旧借地法は借地借家法が制定される以前に存在していた法律で、借地借家法の施工とともに平成4年8月1日をもって廃止されました。ただ、借地借家法の施行前に締結された契約については、旧法が適用されます。

旧借地法は借主を守るような法律で、当時地主と借主のトラブルが起きていました。そのため、法改正がされています。

旧借地法では、契約を更新すればずっと土地を借り続けることも可能です。木造であれば更新後20年、鉄骨・鉄筋コンクリートであれば更新後30年まで借りられます。

借地借家法

借地借家法は、旧法の改正法として平成4年8月1日に施行されました。施行後に結ばれた契約については、借地借家法が適用されます。

借地借家法の契約形態は、大きく分けて5種類です。契約期間などに違いがあるため、把握しておきましょう。

普通借地権

普通借地権では、木造と鉄骨・鉄筋コンクリートの間での期間の区別が撤廃されました。存続期間が30年で、更新1回目は20年、更新2回目は10年と契約期間が短くなっていきます。

更新をすればずっと土地を借り続けられますが、更新を前提に契約を結ぶため、地主は正当な理由がないと更新をしないという選択肢は生まれません。ただ、一定の条件を満たせば、地主も契約解除の申し出が可能です。

そのため、旧借地法と比べて、地主の権利も考えられるようになったといえます。

定期借地権

定期借地権では住宅を建てる目的として土地を貸しますが、基本的に契約更新はありません。契約期間が満了した後は、建物を取り壊して更地にして地主に返却する必要があります。

その分、契約期間は長く、50年以上に設定されています。タワーマンションなどによく利用されている契約形態です。旧借地法で、土地がなかなか返却されないという問題を解決するために制定されたといえます。

事業用定期借地権

事業用定期借地権は、商業用地や工場用地など、事業用途に特化した定期借地権です。事業用のため、たとえ一部であっても住居としては使えません。

最長50年までの契約期間が設定されており、借地権を取得するためには地主と事業計画や業務実績を詳細に提示する必要があります。契約更新はなく、契約満了時に建物を取り壊し、更地にして返却しなければなりません。

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権とは、契約満了後に土地の貸主が建物を買い取る契約をする借地権を指します。つまり、地主は契約満了後、建物所有権も獲得できるのです。

契約期間は一般的に30年以上で、ほかの借地権に付けて契約可能です。建物の譲渡が行われた瞬間に借地権は消滅しますが、借主はその建物に住みたい場合、新たに契約を結んで住み続けられます。

借主にとっては投資効果を高められるため、事業用の建物を建てる際には非常に魅力的な選択肢です。

一時使用目的の借地権

一時使用目的の借地権とは、仮設の事務所やプレハブの倉庫など、土地利用目的が一時使用に限定される借地権を指します。借地期間満了後は、当然ながら土地の返却が必要です。

この種類の借地権は短期的な土地利用に適しているため、公共事業の施設やイベント会場などに利用されるケースがあります。短期間のため余計なコストがかからず、費用面でも魅力的な選択肢です。

借地権付き建物のメリット

ここまで借地権について解説しましたが、土地まで購入し、建物を建てる選択肢もあります。それでは、借地権付き建物をあえて選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。

ここでは、借地権付き建物のメリットについて解説します。

所有権付きより安く手に入る

借地権付き建物は土地の所有権が地主にあるため、同じ物件でも所有権付きのものより安価で手に入れられます。

立地条件が良く、土地の価格が高い場所にある物件であれば、大きくコストを抑えられます。そのため、特にマイホーム購入の際は、費用を抑えるために借地権付きの住宅を検討するのもひとつの手です。

また、土地の価格上昇による影響も受けにくいため、投資対象としても魅力的です。費用を抑えられる点は、どなたにとってもメリットになるといえます。

初期費用を抑えられる

所有権付きの物件を購入する場合、土地の所有権も一緒に取得するため、膨大な初期費用が必要になります。

しかし、借地権付き建物では土地の所有権を持たないため、土地を購入する必要はありません。その結果、建物のコストのみで済むため、初期費用が大幅に抑えられます。場合によっては、借地料金や設備の使用料など、初期費用以外のコストも抑えられるケースがあります。

初期費用は負担になってしまうケースが多いため、抑えられるのは借地権付き建物ならではのメリットです。

長期にわたって借りられる

借地権付き建物は土地の所有者と建物の所有者との間で契約が結ばれるため、一定期間の借り受け期間が決まっています。ただ、この期間は長期にわたるため、長い目で計画を立てられます。安定的な土地利用を行えるため、事業用物件としても人気です。

更新をすれば、ずっと借り続けることもできます。普通借地権などでは、更新に関して正当な理由がない限り、一方的に契約解除はできません。そのため、長期で計画を立てやすいです。

ちなみに、正当な理由というのは、家賃の滞納や建物の老朽化などです。これらの理由がないにもかかわらず契約更新を拒否すると、貸主は借主に対して立ち退き料を支払う必要があります。

土地関連の税金を支払わなくて済む

借地権付き建物を所有する場合、土地の所有権を持たないため、固定資産税や都市計画税などの土地に関連する税金を支払う必要がありません。そのため、建物の維持費用を抑えられるのがメリットです。

ただし、建物の所有権はあるため、不動産取得税などの建物に関する税金は支払う必要があります。とはいえ、土地にかかる税金を抑えられるだけでも、負担は大きく減ります。手元の資金が少ない方にとっては、大きなメリットです。

借地権付き建物のデメリット

借地権付き建物には複数のメリットがありますが、デメリットも存在します。デメリットを知らないと準備ができず、後悔の原因になりかねません。

ここでは、借地権付き建物のデメリットについて解説します。

地代を支払わなければならない

借地権付き建物を所有する場合、土地使用料である地代が発生します。この地代は地主に支払われるため、所有権付き物件に比べて維持費がかさばってしまいます。

借地権契約期間中に地代が引き上げられることもあるため、事前に確認しておくのがおすすめです。土地の値段が上がると、地代も引き上げられるケースがあります。

借地権付き建物を所有する際は、地代や更新料も含めてコストを計算していかなければなりません。

土地は借主の所有物にはならない

借地権は土地の使用権を与えるものであって、土地自体の所有権はありません。借地権付き建物を所有する場合、土地の所有権は地主にあります。

つまり、土地そのものは借主の所有物にはならず、期間満了後は地主に返還する必要があるのです。

そのため、借地契約期間中に土地の売買や相続などが発生した場合、借主には権利が発生せず、地主によって処理されます。

また、建物の取り壊し費用は、借主が負担するのが一般的です。土地を所有していないためにコストがかかってしまう点は、把握しておきましょう。

勝手に増改築及び売却できない

借地権付き建物を所有する場合、土地の所有権が地主にあるため、勝手に増改築や売却ができません。増改築や売却を行う際は、地主の許可が必要です。これは、建物に対する権利のみが付与され、土地に関する権利は地主に帰属するためです。

また、土地に影響がある増改築を行った場合、地主はその価値の一部を請求できます。建物のこととはいえ、土地の持ち主が関わってくる点はあるのです。

更新料が必要になる場合がある

借地権契約が満了したときは、契約を更新すると引き続き借地権付き建物を使用できます。しかし、更新する際には更新料が必要になるケースがあることは把握しておきましょう。

更新料は借主と地主の協議によって決められるため、更新料がかかるかどうかやその金額は契約内容によって異なります。基本的に更新料は地主が定めた料金であり、更新を希望する借主が支払います。

更新料に関しては契約書に記載があるため、契約時に必ず確認しておきましょう。

融資を受けにくくなる可能性がある

借地権付き建物は土地の所有権が地主にあり、借主の所有物にはならないため、融資を受けにくくなる可能性があります。ただ、借地権付き建物がある場合でも、建物そのものを抵当に入れることは可能です。

また、借地権契約期間中に地代が引き上げられる場合があるため、返済能力が低下した場合には問題が生じるケースも考えなければなりません。

住宅を含め建物は安くない買い物のため、融資を前提に考えている方もいるでしょう。そのような場合は、あらかじめ融資を受けられるのか確認してから契約を結ぶようにしましょう。

期間満了後は更地にして地主に返還する

借地権契約においてもっとも重要な点のひとつが、契約期間満了後の取り扱いです。借地権契約が終了した場合、土地および建物をすべて更地にして地主に返還しなければなりません。

そのため、将来的な利用計画を立てる際には、期間満了後の手続きについても考慮する必要があります。

また、更地にするのにかかる建物の取り壊し費用などは、一般的に借主が負担します。契約期間が満了した後、元の状態に戻して地主に返却できるように手元の資金は計算しておきましょう。

借地権付き建物の相続は可能か

借地権付き建物の相続については、配偶者や子どもなどの法定相続人であれば、地主の承諾なく相続できます。特殊な手続きは必要なく、地主に相続した旨を通知すれば大丈夫です。

ただ、建物の名義変更は必要なため、忘れないようにしてください。名義変更を忘れると後々トラブルになるため、注意すべき点です。また、相続税や固定資産税などの税金はかかってくるため、把握しておきましょう。

例外として、遺言などにより、法定相続人以外に相続する場合は注意しましょう。その場合は第三者への譲渡になってしまうため、地主の承諾が必要です。ケースによっては、承諾料が発生する可能性もあります。

加えて、法定相続人に相続したケースでも、建物を一度取り壊して再度建築する場合は地主に許可を取る必要があるため、注意してください。

したがって、借地権付き建物を相続する場合は、地権契約の内容をよく確認し、地主との関係や地代の支払いなどについても適切に対応する必要があります。

借地権付き建物の売却は可能か

借地権付き建物に関しては、建物自体の所有権は持っているため、原則として売却可能です。ただし、売却の際には借地権の契約内容を確認する必要があります。

たとえば、借地権の期間が残りわずかであったり、更新料の支払い義務があったりする場合は、それらの負担を引き継がなければなりません。

また、売却には土地の所有者である地主の許可が必要で、売却価格についても地主が合意しなければなりません。一般的には売却価格の一部が地主に支払われ、土地の所有権を引き継ぐ流れになります。

一方、借地権が定期借地権である場合は期間が満了すると借地権自体が消滅してしまうため、その後の売却は不可能になります。そのため、売却を検討する際には借地権が定期借地権であるか、普通借地権であるかについても確認が必要です。

借地権付き建物の売却方法

借地権付き建物は基本的に売却可能ですが、売却方法にはいくつか種類があります。売却方法によって対応が変わってくるものがあるため、把握しておきましょう。

ここでは、借地権付き建物の売却方法について解説します。

借地権を地主に売却する

形式上は地主に返却する形ですが、借地権は売却できます。借地権を地主に売却する場合、まずは地主との交渉が必要です。売却価格や返却期間、返却時の土地の状態などを含めた条件面で合意する必要があります。

返却時に建物を取り壊して更地にする場合は、それにかかる費用を地主と借主のどちらが負担するかを決めなければなりません。契約書を作成し、土地の所有権を譲渡する場合と同様に登記簿謄本などの手続きを行い、売買契約を完了させましょう。

ただ、この方法は地主と直接交渉するため、承諾を取ったり価格のすり合わせをしたりなどをいっぺんに行いやすいのがメリットです。それと同時に直接交渉するということは、トラブルも起きやすいです。その点は、注意しておきましょう。

借地権を第三者に売却する

借地権は第三者へ売却する方法もあります。借地権を第三者に売却する場合、売却の可否や売却価格に関しては地主への確認が必要です。

確認する内容としては、まず借地権を第三者へ売却していいか、建物の建て替えをする場合は立て替えをしていいかなどです。ほかにも、抵当権や契約条件についても地主に確認し、了承をもらっておきましょう。

また、借地権には法的に制限があるため、個人で売却を進めるのは難しいです。個人間でのやり取りはトラブルも起きやすいため、借地権を売却する場合は不動産会社などの専門家への相談をおすすめします。

売買契約が成立した後は、登記簿謄本などの手続きを行い、土地所有権譲渡登記を行うことで完了します。

借地権を等価交換後に売却する

難易度は高いですが、借地権を等価交換して売却する方法があります。借地権の等価交換とは、借主の権利と貸主の権利を価値が同じになるようにして交換することです。

借地権を等価交換する場合、売却する側が交換対象として提示する資産の価値は、借地権の価値と同等か、それ以上である必要があります。また、交換対象となる資産が売却する側の所有物でなければなりません。

等価交換が成立した場合は、交換した資産の所有権譲渡登記を行うことで借地権の売却が完了します。

借地権と底地権を同時に売却する

借地権と底地権を同時に売却する方法は、借地権を持つ借主が底地権を持つ地主に対して交渉し、借地権と底地権を同時に売りに出す方法です。この場合、借主は借地権を売却し、地主は底地権を売却します。

この方法のメリットは、高額で売却できる可能性があることです。通常、借地権や底地権を取得する際には、地主の許可を取るための交渉が必要になり、非常に手間がかかります。

最初からセットで売られていれば買う側も負担が減るため、多少高額になっても買いたいと思う人がいるのです。

しかし、この方法は地主からの許可を得づらいです。地主といい関係を築けている場合は許可が出る可能性もあるため、検討してみましょう。

まとめ

借地権とは地代を支払い、土地を借りる権利のことです。借地権にはいくつか種類があり、それぞれ契約期間などに違いがあります。各借地権については、この記事を参考に把握しておきましょう。

借地権のメリットとしては、土地の所有はしないため、税金などの費用を抑えられる点です。ただ、融資を受けにくくなるなどのデメリットもあるため、注意が必要です。

また、借地権付きの建物でも、相続や売却はできます。やり方に関してはこの記事で紹介しているため、参考にしてください。

残債がある状態の訳あり物件は売却できる?売却する際に覚えておきたいこと

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住宅ローンの支払いが残っている住宅が訳あり物件になった場合も、買主を見つければ売却できます。ただし、物件の売却にはいくつかの条件があるため、必ず売却できるとは限りません。

この記事では、残債がある訳あり物件を売却する際に覚えておきたいこと、残債に売却金額が足りていない場合の対応法を解説します。記事の後半では、残債がある訳あり物件をスムーズに売却する方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

残債がある訳あり物件でも売却可能

住宅ローンの残債がある物件が、訳あり物件になってしまった場合でも、売却自体は可能です。

ただし、ローンを支払わなくていいというわけではなく、ローンの残債を支払えるだけのお金が必要になります。住宅ローンの残債がある物件には、抵当権が付いていることが一般的だからです。抵当権に関しては後ほど詳しく解説します。

残債がある訳あり物件を売却する際に覚えておきたいこと

住宅ローンの残っている訳あり物件を売却する際は、以下の4点に注意しましょう。

・抵当権の抹消が必要
・アンダーローンの場合は通常どおりに売却可能
・オーバーローンの場合は任意売却が必要
・訳あり物件と見なされるケースとは

抵当権の抹消が必要

住宅ローンを組む際、お金を貸す金融機関は確実にお金を返してもらえるかわからないので、住宅を担保に取ります。これを抵当権といいます。

抵当権は、ローンを完済すれば抹消するのですが、抵当権が残っているうちは住宅を売れません。残債を完済できる見込みがなければ、訳あり物件の売却は不可能です。

アンダーローンの場合は通常通りに売却可能

アンダーローンとは、物件売却額の方が残債額を超えている状態です。たとえば、住宅ローンの残債が1,000万円で、売却額が1,200万円だった場合、差額の200万円を手にして、訳あり物件を完全に売却できます。

アンダーローンの場合は、売却額だけで残債分を賄えるので、抵当権は抹消され、通常の物件と同じように売却可能です。売却で残ったお金は、引越し代や新居の購入費用など、好きなように使えます。

ただし、訳あり物件を売却する場合、査定額が周辺相場よりも低くなる傾向にあるため、下記で説明するオーバーローンになる可能性が高くなります。

オーバーローンの場合は任意売却が必要

オーバーローンとは、残債が売却額を超えている状態で、通常の方法では売却できません。とくに、住宅を購入して早期に訳あり物件になった場合、オーバーローンになる可能性が高いです。

訳あり物件は、よほどの人気エリアの物件でない限り価値が低下して、売却額が下がる傾向にあります。オーバーローンの住宅を売却するには、金融機関をはじめとした借り入れ先から許可を得る「任意売却」という方法を用います。

借り入れ先からしてみれば、貸したお金が確実に返ってくれば問題ありません。残債から売却額を引いた不足分を用意できれば、許可を得やすくなります。

また、ローンを完済できない場合でも、借り入れ先に状況を説明して許可を得れば、売却後に残債を支払い続ける方法があります。

訳あり物件と見なされるケースとは

訳あり物件は不動産価値が下がり、オーバーローンに陥りやすくなりますが、訳あり物件と判断されるケースは以下のとおりです。

心理的瑕疵物件 居住する際に心理的な抵抗感が生じる物件 →過去に事故、自殺、殺人が発生した物件など
環境的瑕疵物件 周辺環境による不快感が生じる物件 →墓地や葬儀場のある物件、線路が近く騒音に悩まされる物件など
法的瑕疵物件 都市計画法や建築基準法といった法律を遵守できていない物件

それぞれの特徴を把握して、自分の持ち家が訳あり物件に該当するか照らし合わせてみましょう。自分では判断できない場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

残債に売却金額が足りていない場合の対応法

残債に売却金額が足りていない場合、何かしらの対策を打って返済の目処を立てないと、借り入れ先からの許可を得にくくなります。ここでは、以下3つの対処法を解説します。

・貯金を使って残債を返済する
・ほかの金融機関から融資を受ける
・知人や家族から不足分を借りる

貯金を使って残債を返済する

売却額だけで賄えない分を貯金から補填すれば、問題なく任意売却が可能です。たとえば、売却額を差し引いた残債300万円分を貯金から出せれば、金融機関からの許可が降りるでしょう。基本的に貸した側は、お金が全額確実に返ってくればよいので、集金方法は問いません。

他の金融機関から融資を受ける

売却額と貯金だけで残債を完済できない場合は、ほかの銀行から融資を受けるという方法があります。ただし、借り入れができたとしても、利子によって売却後の生活を圧迫する原因になるため、返済期間や金利は注意すべきポイントです。

また、住宅ローンを完済していない状態で売却しようとする行為は、リスクのある債務者だと敬遠されてしまう可能性があります。

知人や家族から不足分を借りる

知人や家族、親戚などに事情を説明して、残債に満たないお金を借りる方法もあります。気をつけたいのが、1月1日から12月31日の1年間でもらった合計金額が110万円を超えると、贈与税が発生する点です。

どうしても一括で高額のお金を借りる場合は、借用書を適切な金利で作成しておくと贈与扱いにならず、贈与税が発生しなくなります。ただし、あまりにも低金利の借用書を作るなど、適当な対応をしていると、税務署から認めてもらえないので注意しましょう。

残債がある訳あり物件をスムーズに売却する方法

通常の物件であれば、売却完了までスムーズに進むかもしれませんが、残債があり、なおかつ訳あり物件ともなると、多くの制約を受けます。できるだけスムーズに訳あり物件を売却するために、以下2つの方法を覚えておきましょう。

・訳あり物件専門の買取業者を活用する
・任意売却の実績がある不動産会社を活用する

訳あり物件専門の買取業者を活用する

訳あり物件は、人の死や法的な問題が関係していることから、一般的な不動産会社では買い取ってもらえない場合が多いです。物件価値が低いだけでなく、ノウハウが足りずに扱いづらいことから、相場よりもはるかに安い値段で見積もられるケースもあります。

そこでおすすめなのが、訳あり物件専門の買取業者です。抵当権に関する交渉や物件の再生ノウハウに富んでいるため、残債がある訳あり物件でも、しっかり買い取ってもらえる可能性が高まります。

業者によってさまざまな査定額が付くので、少しでも高い値段で売却したい方は、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。

任意売却の実績がある不動産会社を活用する

不動産会社によっては任意売却のノウハウが少なく、スムーズに買い取ってもらえない場合があります。

最初から任意売却の実績がある不動産会社を活用することで、売却までスムーズに行える可能性があるので、検討してみましょう。こちらも複数の業者に見積もり依頼を出すことで、売却価格の高い業者を選べます。

まとめ

訳あり物件は、残債がある状態でも売却可能です。ただし、抵当権の抹消が必要であることや、スムーズな売却は、残債よりも売却額の方が大きいアンダーローンの場合にかぎる、などの注意点があります。

また、売却額だけではローンを完済できないオーバーローンの状態では、任意売却が必要です。借り入れ先から売却の許可をもらえるよう、貯金やほかの金融機関からの借り入れ、知人や家族からの資金調達で、不足分を補いましょう。

一般の不動産業者では、訳あり物件に関するノウハウが少なく、スムーズに売却まで漕ぎ着けない可能性があります。訳あり物件専門の買取業者や、任意売却の実績がある不動産会社を活用するのがおすすめです。

孤独死のあった物件の価格はどのくらい下がる?

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売り出し用や賃貸マンション・アパートを所有する方であれば、どなたでも孤独死の対応をする可能性があります。注意したいのが、発見までの経過時間や、家の状態によって「事故物件」と判断されて価格が低下してしまうことです。

実際に孤独死が発生すると、どの程度価格が低下するのでしょうか?この記事では、孤独死があった物件・土地の価格の変動を解説します。記事の後半では、孤独死が事故物件に該当するケースと、ならないケースも解説するので、ぜひ参考にしてください。

孤独死のあった物件の価格

ここでは、孤独死があった物件は、どの程度価格に変動があるのか解説します。以下の条件別に、それぞれ見ていきましょう。

・発見が早かった場合
・発見が遅かった場合
・賃貸の場合

参考:https://gro-bels.co.jp/media/article/1681/
参考:https://c-realestate.jp/top/7568/

発見が早かった場合

孤独死の発見が早かった場合は、通常の0%〜10%ほどの価格で売却できます。事故物件と判断されるには、心理的瑕疵という抵抗感が生じるかどうかがポイントになります。

自殺や他殺といった、怨念を感じさせる死因の場合は事故物件に該当しますが、老衰をはじめとした、孤独死を早期に発見できた場合は、心理的瑕疵が薄れ、価格に大きく影響しません。

発見が遅かった場合

孤独死は発見が遅れると、価格が20〜30%ほど低下します。遺体が腐敗して異臭や体液が部屋にこびりつくと、心理的瑕疵が大きいと判断されて、事故物件扱いになります。

その場合、特殊清掃やお祓いの必要性が生じ、売却する際に告知義務が発生します。さらに、周辺の相場よりも価格を下げなければ買い手が見つかりにくくなるため、注意が必要です。

ただし、事故物件でも人気のあるエリアで立地に恵まれているのであれば、買い手がつきやすく、価格を最小限の低下に抑えられます。

また、売却方法を工夫することで、価格の低下を抑えられます。直接買主へ売却するよりも、事故物件専門の買取業者を利用した方が、最小限の価格低下で確実に売却できるので、覚えておきましょう。

売却する際は、適正価格を知るために1つの業者だけでなく、複数の業者に相見積もりを出すのがおすすめです。

賃貸の場合

賃貸の場合は、売り出し用の物件よりも価格の低下は抑えられます。賃貸物件であれば、住人が入れ替わるほか、1人の方が長く居住することで、次の居住者が感じる心理的瑕疵は薄れ、価格を下げなくても入居希望者が見つかりやすくなるためです。

孤独死が発生して、事故物件と認められた物件には告知義務が発生しますが、賃貸の場合は住人が1人住めば、それ以降の居住者への告知は必要ないと考えられることが多いので、心理的瑕疵を生まずに貸し出せるようになります。

孤独死のあった土地の価格

孤独死が発生すると、物件だけでなく、土地そのものの価格も低下する可能性があります。ここでは、孤独死が発生した土地の価格低下について、以下3つの条件に分けて解説するのでぜひ参考にしてください。

・一般的な土地の場合
・人気のある土地の場合
・孤独死から時間が経過している場合

一般的な土地の場合

一般的な土地の場合、10%〜20%ほど価格が低下すると言われています。ただし、エリアや経過年数によって土地の価値が変わるため、一概に10%〜20%の範囲で変動するわけではありません。

土地は、持っているだけで固定資産税や、都市計画税がかかります。適切な価格まで下げないと土地が売れなくなり、税金が発生し続けるので注意しましょう。

売れないからといって大幅に価格を下げてしまうと「何かよくないことが発生した場所なのかもしれない」と疑われてしまいます。不安な場合は不動産会社に相談するのがおすすめです。

また、誤解されがちですが、孤独死が発生した物件を取り壊して土地を売る場合でも、告知義務はなくなりません。

人気のある土地の場合

都心に近く駅やスーパー等に近い人気のある土地は、価格が下落しない場合があります。孤独死が発生した土地でも買い手・借り手が付きやすくなるため、土地の価値を正しく認識するのが重要です。

孤独死から時間が経過している場合

孤独死の発生から時間が経過している場合は、周辺エリアの土地と同じ相場で売却できます。目安としては10年です。

心理的瑕疵は年数が経過するとともに薄れるので、10年も経過すれば抵抗感はほぼなくなります。買い手・借り手が現れやすいので、価格を下げる必要がありません。

ただし、孤独死が発生した物件が建っていた土地ということが後から発覚した場合、トラブルに発展する可能性があるため、事前に買い手・借り手に説明をしておきましょう。

孤独死が事故物件に該当するケースとならないケース

そもそも事故物件に該当しなければ、大きく価値が落ちることはありません。事故物件と判断されるには、心理的瑕疵がポイントになります。

事件や事故、自殺、殺人、火災などが物件で発生すると心理的瑕疵が大きくなります。孤独死は事故に該当する場合と、ならない場合があるため、その差異を知っておきましょう。

ここでは孤独死が、事故物件に該当するケースとならないケースを解説するので、ぜひ参考にしてください。

条件 事故物件に該当する 該当しない
すぐに発見された場合
発見されるまで時間がかかった場合
自殺だった場合
ニュースで報道された場合

参考:https://www.riskbenefit.co.jp/topics/kodokushi/165.html

すぐに発見された場合は?

老衰をはじめとした孤独死が発生して、すぐに発見されれば心理的瑕疵は薄くなります。腐食・異臭が発生する前に遺体を見つけることができれば、物件にダメージを与えることなく供養できるからです。

発見までのスピードに明確な基準はありませんが、腐食が始まる前という目安を覚えておきましょう。とくに夏場は高い気温と湿度によって、遺体が腐食しやすいので注意が必要です。

孤独死を防止・早期発見できるように、あらかじめ自治体の取り組みを把握し、セキュリティ会社や電気・ガス・水道といったインフラ業者と連携しておきましょう。

発見されるまで時間がかかった場合は?

遺体が発見されるまで時間がかかってしまった場合は、事故物件に該当します。腐食が進むことによって、体液・血液が染み出てしまい、建材や備え付け家具に汚れが付き、心理的瑕疵が大きくなるからです。

特殊清掃やリフォームによって孤独死の痕跡は消えますが、事実が消えることはありません。こちらも、明確な日付基準が設けられているわけではありませんが、遺体が腐食してしまうと事故物件に該当してしまうので、1週間程度がボーダーラインと捉えましょう。

自殺だった場合は?

重ねての説明にはなりますが、心理的瑕疵とは、物件に住む際の抵抗感を指します。自殺が発生した物件となると、ほとんどの方が抵抗感・嫌悪感を抱くでしょう。

特殊清掃やリフォームを施した場合でも、自殺が発生したという事実が重くのしかかるため、事故物件に該当してしまいます。

時間が経過すると心理的瑕疵はある程度和らぎますが、あくまで買主・借主が判断するので、どれだけ年数が経過すればよいのかどうか明確な基準はありません。

また、物件の中だけでなく、庭先での死亡や家で自殺をはかり、救急車で運ばれて搬送先の病院で死亡した場合も事故物件に判断されるので注意しましょう。

ニュースで報道された場合は?

近年、熱中症や凍死、老衰といった孤独死がニュースで報道されることが多くなりました。報道され、周辺住民に死亡事故があった物件だと認知されると、心理的瑕疵が大きくなり、事故物件に該当します。テレビ番組だけでなく、WEBニュースも同様なので覚えておきましょう。

まとめ

孤独死のあった物件は、事故物件と判断されると価値が下がってしまい、価格を下げなければ買主・借主が現れない可能性があります。

発見が早かった場合や、賃貸の場合はそこまで大きな影響はありませんが、発見が遅かった場合は心理的瑕疵が大きくなり、価格低下を招くため、対策が必要です。

また、物件だけでなく、土地も心理的瑕疵によって価格に影響が出る点を覚えておきましょう。人気のある土地や、孤独死から時間が経過している場合は、そこまで影響はありません。

孤独死した遺体がすぐに発見された場合は、事故物件として判断されないことが多いですが、発見が遅れて遺体の腐食が進むと、事故物件になってしまいます。自殺やニュースで報道された場合も価格低下の原因になるので、ぜひ覚えておきましょう。

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