不動産売却において頭を悩ます物件のひとつに「ゴミ屋敷」が挙げられます。
ゴミ屋敷とは言葉どおり、ゴミを大量にため込んだ状態の家のことをいいます。

ゴミ屋敷あるいはそれに近い状態の家は、大量のゴミによって室内が汚染されていることが多いため「売却しても、もう希望の価格では売れないのでは…」と、諦めている人もいるかもしれません。

しかしゴミ屋敷であっても、高く売ることは可能です。
この記事では、ゴミ屋敷を高く売却する方法と売却時のポイントを詳しく解説します。

ゴミ屋敷とは

ゴミ屋敷とは建物内外にゴミを大量に溜め込んだ家のことをいいます。

ゴミ屋敷は悪臭や害虫、汚れなどによって不衛生な状態となっていることがほとんどで、近隣から苦情が出ることも少なくありません。そのため、行政が居住者に対しゴミの撤去を求めるケースも見られます。

しかし、ゴミ屋敷の住人の多くはゴミの区別ができない人やゴミが捨てられない人、他者との関わりを拒み生活意欲が低下した状態となるセルフネグレクトであるなど、さまざまな要因からゴミの処分に応じないケースがほとんどです。

その結果、ゴミ屋敷が放置されることにつながっています。

ゴミ屋敷を放置していると?

ゴミ屋敷を放置していると、害虫・害獣が発生し、不衛生な状態となってしまいます。また、放置した期間が長く、害虫・害獣が増えれば家にダメージを与える恐れもあります。

さらに、溜まったゴミが放つ悪臭や家の外にはみ出したゴミなどで、地域に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

前述したように、ゴミ屋敷の所有者本人が片付けを行えないケースも多くあります。しかしゴミ屋敷をそのまま放置することは、所有者にとってデメリットが多いのです。

ゴミ屋敷を放置するデメリット

とくにゴミ屋敷の住人が高齢者の場合、ゴミ屋敷が深刻化すると自分で片づけることが難しくなり、ますますゴミ屋敷の状態は悪化していきます。

部屋に積みあがったゴミが倒壊する、何かの拍子にゴミに火がつき火災になるなどの理由で、ゴミ屋敷が住人の孤独死を招いてしまうこともあります。住人が認知症や若年性アルツハイマー、セルフネグレクトなどの問題を抱えていれば、よりリスクは高まるでしょう。

もしもゴミ屋敷を放置したことで住人が孤独死してしまったら、最悪のケースとしてゴミ屋敷という問題に加え事故物件にもなってしまう可能性も考えられます。

そうなると、ますますゴミ屋敷の資産価値は下がる一方です。

ゴミ屋敷を売却する方法

通常の不動産売却と比べ、ゴミ屋敷は売れにくいという印象をもつ方も多いかもしれません。しかし、ゴミ屋敷でもいくつかのポイントを押さえればスムーズに売却することは可能です。

買取と仲介

ゴミ屋敷の売却方法には、主に買取と仲介の2種類の方法があります。

買取とは直接不動産会社に物件を買い取ってもらう方法で、仲介とは不動産会社を通して物件を宣伝し購入者を探してもらう方法になります。

通常物件の売却であれば仲介が一般的となりますが、ゴミ屋敷の場合は買取での売却がおすすめです。仲介でゴミ屋敷の買い手を探すには、現状のままだと売れないことがほとんどで、ゴミの処分はもちろん室内リフォームなどが必須となり、手間や費用がかかってしまうからです。

一方で、買取ならゴミがある状態でも家を買取してくれる不動産会社も多く、売却までの期間も最短で1週間程度とスピーディーな取引が可能です。「ゴミの処分費用が用意できない」「早く売却してしまいたい」という方にとって、確実に早くゴミ屋敷が売れる方法となります。

ゴミの処分はどうする?

ゴミ屋敷の売却方法には、ゴミを処分してから不動産会社に買取をしてもらう方法もあります。

この場合、ゴミを処分する費用や手間はかかりますが、ゴミがある状態よりも買取をしてくれる不動産会社が増えやすいというメリットがあります。

ただし、ゴミを処分することで買取価格に反映されるかというと難しく、あくまでも室内の現状から買取価格が決められることになります。

リフォームは必要?

ゴミ屋敷は室内のあちこちが傷んでいる場合が多いため、修繕やリフォームを行って綺麗な状態に復元をしてから仲介で売却しようと考える方もいます。

しかし、リフォームを行ったとしてもゴミ屋敷であった過去は消せず、仲介で確実に売れる保証はどこにもありません。そのため、リフォームにかかる費用やゴミの処分などの手間を考えると、この方法はやや無理があります。

一方で、不動産会社に買取をしてもらう方法なら、ゴミの処分後に不動産会社が再販にあわせてリフォームを行うため、汚れた状態でも売却は可能です。

戸建てなら解体してから売却という方法も

所有するゴミ屋敷が一戸建ての場合なら、家を解体してから仲介で売却するという方法もあります。

人気の居住エリアなら、ゴミ屋敷の状態では売れなくても更地にしてしまえば「買いたい」という人が現れるかもしれません。ただし、家の解体にはまとまった費用がかかるため、家族や近親者とよく相談する必要はあるでしょう。

ゴミ屋敷の売却費用

不動産の売却にはさまざまな費用が発生しますが、ゴミ屋敷を売却する場合には何に対してどのような費用がかかってくるのでしょうか。

ゴミ処分の費用

ゴミを処分してから不動産会社に買取や仲介で売却する場合は、ゴミの処分費用が発生します。

ゴミの処分費用はゴミの量や部屋の広さなどによっても変わりますが、専門業者に依頼する場合は一戸建てで約50~60万円、1LDKのマンションで約15万円が相場です。

消毒や解体にかかる費用

ゴミ屋敷はカビやアンモニア臭などの不快な臭いが家に染みついていることが多く、またゴキブリなどの害虫が発生していることも多くあります。そのような場合、ゴミの処分費用に加えて特殊清掃にかかる費用も想定しておかなければなりません。

消臭や消毒にかかる費用は部屋の広さや清掃内容によって変わりますが、大体の相場として1LDKで約13万円以上が目安です。

また、ゴミ屋敷を解体して更地にしてから売却する場合は、解体にかかる費用も用意する必要があります。一般的な一軒家の解体費用としては、30坪の木造住宅に対し約120~180万円が相場となります。

ゴミ屋敷の売却価格を高値にするポイント

ゴミ屋敷は安い価格でしか売れないと思われがちですが、売却方法や買取先によっては一般的な相場と変わらない価格で売却することが可能です。

そこで、以下ではゴミ屋敷を高値で売却する際のポイントについて解説します。

専門業者に買取してもらう

スムーズな取引ができる不動産買取は、ゴミ屋敷を手放す方法としてはベストといえますが、より高値で売却するなら「ワケあり不動産」の買取を専門とする業者に査定を依頼しましょう。

ワケあり不動産の買取を専門としている業者は、独自の再販ルートやノウハウを持っていることを強みとしており、ほかでは買取を断るようなゴミ屋敷でも高値で買取してくれることが多くなっています。その結果、売却価格に期待が持てるのです。

リフォームや解体してから売却する

ゴミ屋敷のままでは売れない物件も、リフォームや解体をしてゴミ屋敷のイメージを払拭することができれば、仲介にて高値で売却することは可能です。

とくに、駅から近く周辺環境がよい物件であれば「キレイになっているのなら買いたい」という方が現れることも少なくなく、地域の相場かそれ以上の価格で売却できる可能性もあるでしょう。

ゴミ屋敷を売却する流れ

実際にゴミ屋敷を売却することになったら、どのような流れで売却を進めていけばよいのでしょうか。ゴミ屋敷の売却から引き渡しまでの具体的な流れは以下となります。

業者に相談のうえで、ゴミ処理など通常物件に近づける

ゴミ屋敷の売却する際は、まずは不動産会社や専門業者などとゴミの処分方法や売却方法を相談します。

現状のまま買取してくれる場合はそのまま買取手続きとなりますが、仲介で売却する場合はゴミの処分や室内の消臭・消毒を行い、通常の物件に近づけます。

業者を通して売りに出して、購入者へ引き渡す

仲介にてゴミ屋敷を売却する場合は、通常物件として宣伝ができる状態になった後に不動産会社を通して物件を売りに出し、購入者を探します。

無事購入者が現れたら、購入者と具体的な交渉を行い、内覧などを行った後に売買契約を締結し、購入者へ物件の引き渡しとなります。

まとめ

全国各地で問題となっているゴミ屋敷は、通常物件と比べて売却までの道のりが困難なことも多くあります。しかし、ゴミ屋敷でも売却のポイントを押さえていればスムーズかつ高値で売却することは可能です。

とくに、ワケあり物件の専門買取業者なら独自の販路によって所有に困る物件も再生するノウハウがあるため、高値買取には期待できます。もしも所有に困っているゴミ屋敷があるなら、この機会にぜひ売却を検討してみてはいかがでしょうか。